万代ブログ

老朽化のり面の調査事例紹介

2018.09.06 【便利帳建設コンサルタント

既設モルタル吹付のり面の老朽化調査事例のご紹介

 今回は、モルタル吹付の空洞調査の事例をご紹介いたします。
道路に施工されたモルタル吹付背面に、老朽化に伴う空洞化、土砂化、湧水に伴う湿潤状態などがある場合には、モルタル表面に温度変化がみられます。

地盤工学会「地盤調査の方法と解説」P155より

 

 

赤外線サーモグラフィー調査は、のり面の全体温度が低い早朝又は夜間、のり面の温度が高くなる昼過ぎの2回以上の計測を行います。この撮影結果より、温度の差に着目します。

 

 

 

 

 

 

 


写真-1
左の写真は、のり面の温度が上昇している昼過ぎの撮影状況です。

 

 

 

 

写真-2 8:30頃撮影した赤外線画

前日、雨が降っており、のり面全体が比較的均一の温度に低下していたこと、朝の撮影段階ではのり面全体が日陰であったことから、全体に20°程度の均一な温度を示しておりました。

 

 

 

 


 

写真-3  11時頃撮影した赤外線画像
8時の時点では法面全体が冷えていましたので、既に赤く変化している箇所は、空洞化の可能性もある箇所です。この赤外線画像より、温度等高線をのり面の写真に重ねてみます。

 

 

 

 

 


 

写真-4 のり面写真に温度等高線を重ねる(11時段階)

温度等高線の数字が大きい箇所が、のり面の温度が高いことを示しています。ちなみに、右側スタッフ付近の44°を示している箇所は、のり面をハンマーで打撃すると空洞が確認できました。

 

 


 

写真-5 15時撮影赤外線画像
のり面全体が日射によって暖められて、全体に暖色に変化しています。
赤外線サーモグラフィーカメラの弱点は、

●日陰、植物が生えている箇所では、温度変化が得られにくい。
●のり面に不陸がある場合、凸部で温度が上がり、凹部で温度が上がりにくい。つまり、凹凸があるのり面では、正確な情報が得にくい可能性がある。
●温度変化の少ない時期は、変化がとらえにくい可能性がある。
●北向き斜面は不向き。

次に、11時と15時の温度変化量を図化してみました。

 

写真-6 温度差等高線(11時、15時)

2回の特定結果より、のり面の温度の差を図化しました。この結果、温度差が高い箇所は、のり面背後に空洞が形成されている可能性があります。特に、のり面左側の上から下に垂れ下がったような高温ゾーンや右下の高温の目玉のような箇所(スタッフの左)では、のり面背後の空洞化が想定されます。なお、のり面上部にも高温度差ゾーンが存在しますが、これは11時段階で日陰であった箇所ですので、空洞化とは関連がないと判断いたしました。
また、下からの目視で確認できないようなのり面の場合には、ドローンによる空撮も併用し施設の健全化判定を行います。

写真-7 ドローンを利用したのり面点検

下からの目視が困難な場合では、ドローンによる亀裂状況の確認なども併用します。

 

 

 

 

 

弊社では、北陸地方、関東地方、中部地方を中心として、地質調査、斜面調査、斜面設計(のり面・落石・地すべり・斜面崩壊)、施設の老朽化点検などを行っております。ご興味がございましたら、お気軽にご相談ください。

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