万代ブログ

獣に脅かされる土木構造物

2021.02.04 【その他建設コンサルタント

土木構造物と獣害

近頃、獣害という言葉をよく聞くようになってきました。
また、中山間地へ行くと、電気柵や金網で囲まれた獣除けがよく見られます。

獣害と言えば、クマ、猿、イノシシ、ハクビシン、アライグマなどの動物が畑を荒らし、被害が拡大しているという話をよく聞きます。また、北海道では、かつてヒグマ事件「三毛別羆事件」などという恐ろしい出来事もありました。

仕事などで山奥の集落に行くと、イノシシなどの被害によって農家さんの耕作意欲もなくなり、耕作放棄地が増えていますと聞きます。また、これらの獣害対策として平坦地と山の境界に延々と柵が設置されている事例も目にします。何だか、狭い人間の生活領域を囲んで暮らしているようにも思えますが・・・。

 

土木設計に従事している弊社では、これまで獣害とは農業部門のみの被害であると考えていました。

しかし、ある日とても脅威を覚える場面に遭遇しました。

 

 


 

斜面が獣に荒らされ、植物の根なども食いちぎられており、裸地が至る所に形成されていました。この結果、雨などによる地表水が斜面を浸食し、小崩壊や落石を発生させていました。すぐ直下には家屋もありました。

さらに、筆者は、もっと恐ろしい光景を目の当たりにしました。

それは、斜面を安定させるために設置されていた法枠工の大部分が宙に浮いているのです。目撃した直後は、「緩い崖錐堆積物(ガラガラの土砂状)の上にコンクリート構造物を載せたらこのようになるだろう」と当時の設計者や施工者のミスを疑いました。

 


 

 

 

 

 

 

 


しかし、この施設の背後には、地表水による浸食が生じないような位置にコンクリート構造物があったのですが、基礎部が激しく掘られているのを目撃しました。この現象は、明らかに動物が餌を探すために掘られた跡であることが容易に推測できたのです。

近隣住民の話を聞くと、最近はイノシシなどが多く出没し、花の芽や根などを食い荒らし困っているという話が聞けました。

斜面の状態や近隣住民の話を総合的に勘案すると、今回目撃した土木構造物は「獣害」による被害だと断定しました。

 

斜面を安定させるために設置されている法枠の大部分が宙に浮き、限られた一部の点で斜面に辛うじてぶら下がっている状態でした。


獣による被害について、筆者は完全に甘く見ていました。

おそらく、近い将来にこの施設は崩壊に至る可能性が高いと考えています。斜面の下方には人も近づく可能性が高く、獣(ケダモノ)の恐怖を感じました。

 

 

 

 

このような事例をみて、獣害が発生している地域では、斜面対策時には獣対策も併用しないといけないことを痛感しました。ただでさえ、斜面対策で費用が掛かるのに、さらに獣害対策となるとその費用もばかになりません。

しかし、獣害という被害は、もうそこまで迫っているのだと考えさせられた事例でした。

ちなみに、現在では、獣害対策として法面に金網を配置するなどの対応もされる場合がありますが、腐食対策として耐候性の繊維ネットなど被覆する方法もあります。

しかし、これからは、獣害が懸念される地域では、単純に法枠+ネットなどと考えず、獣害に強い法面対策の検討が必要である痛感した事例でした。


 

 

前田工繊㈱GMネット事例をHPより引用させていただきました。

 

 

 

 

弊社は、北陸地方(石川県、富山県、福井県、新潟県)、中部地方、関東地方などで斜面設計、地質調査、ロープアクセス調査、老朽化調査などを行っています。業務でお困り毎がある際には、是非ご相談ください。

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