万代ブログ

基礎知識編🐤 ため池の安全について

2023.04.21 【the Staff Blog

皆さん、こんにちは🐓
新人の私があまり聞きなじみがなかったことを少しずつお話ししようと思います。

 

まず「ため池」って、皆さんご存じですか?
なんとなく単語でイメージできるけど具体的には何なのか知りませんでした。

日本には全国各地に沢山のため池が点在しています。
よく聞く「日本の〇〇百選」とか「日本の三〇〇」みたいな言い方で、自然や観光地スポットを特集していますが、
ため池もそういう分類される存在らしいんです。

【PDF】ため池百選 地域活性化の核として保全・活用される取り組みのために―農林水産省

万代エンジニアリングの仕事でも、ため池に関わる部分があるので紹介していきますね!

石川県七尾市にある「漆沢の池」 ため池百選に選ばれています!

仕事内容について詳しく知りたい方は下記をチェック👉

 

 

ため池の定義と役割

それではまずため池の定義が何なのかを見ていきましょう。

 

ため池とは、降水量が少なく、流域の大きな河川に恵まれない地域などで、農業用水を確保するために水を貯え取水ができるよう、人工的に造成された池のことです。ため池は全国15万箇所存在し、特に西日本に多く分布しています。 ため池の多くは江戸時代以前に築造され、築造にあたっては、各地域において試行錯誤を繰り返して得られた経験をもとに造られたものと推測されます。 参照:農林水産省

農業を営むには豊富な水が必須ですが、水に恵まれていない地域でも農業ができるように造られたのがため池です。
ため池に十分な水を蓄えてさえおけば、農耕地へ必要な時に水が供給できるので、
降雨や気温などの季節要因の影響が小さくなり安定生産につながるということですね。

下図に各都道府県別の箇所数が記載されていますが、北陸三県は少ないですが全体の3%ほどため池が存在しています。


出典:農林水産省「ため池とは」(PDF)

 

ため池の作成と形式

ため池は主に2つの種類があり、谷池と皿池に分かれています。

山間部、丘陵地域のため池は谷をせき止めて造ります。
側面は谷の地形を活かし下流側の一面に堤防をつくるので、堤体が高いのが特徴です。
皿池は平野部や丘陵地の下の方にありますが、 平地の窪地の周囲に堤防を築いて造られたため池 です。


出典:農林水産省「ため池の種類と構造」(PDF)

 

下記に基本的な構造を示しますが、地形に大きく左右され、特殊な形状も多く見られるので、
あくまでも参考例としてご確認頂ければと思います。

各ため池用語の説明

  • 洪水吐(こうずいばき)ー満水であふれた分の水を捨てる口
  • 斜樋(しゃひ)-水が必要になったときに栓を開ける場所
  • 底樋(そこひ)-斜樋で開けた水が出てくる場所
  • 堤体(ていたい)-池の水をせき止めてる堤防
  • 天端(てんば)-堤体の上端で平らな部分
  • 法面(のりめん)-人工的に造られた斜面
  • 法肩(のりかた)-斜面の上端
  • 法尻(のりじり)-斜面の下端

 

ため池に関わる法律

毎年、日本各地で豪雨災害がニュースで流れていますが、
令和元年にため池の管理・保全に関する法律が施工されました。

参照:農業用ため池の管理及び保全に関する法律(平成31年法律第17号)について
平成30年7月豪雨に始まり豪雨等により多くの農業用ため池が被災し甚大な被害が発生しました。
適正な管理体制を整備することを目的に施工されています。

法律の変更点

・所有者等による適正管理の努力義務
・所有者等による都道府県へのため池情報の届出を義務付け
・都道府県によるため池のデータベースの整備、公表
・ため池の適正な管理が行われていない場合、都道府県による勧告

 

過去の決壊 藤沼ダム(福島県)

少しため池より少し大規模の話になりますが、
2011年に農業用ダムの藤沼ダム(福島県須賀川市)が決壊しました。
原因は東日本大震災が発生した際の地震です。
濁流に飲まれ8名が犠牲になった悲惨な事故ですが、津波の方がクローズアップされ、
藤沼ダムについてはあまり認知されていないように感じます。

 

終わりに

防災点検に関わることになり、何故この点検を行うかを考えるきっかけになりました。

農業用ダムやため池の下流側には人家があります。
しかし、耕作放棄などにより、山奥のアクセスが悪いため池は管理が行き届かず漏水していることもあります。
降雨後に大量の漏水が見られるようになると決壊リスクが高まります。

たとえ小規模なため池であっても、決壊による悲惨な事故に繋がらないよう、
今後の防災点検にもしっかり取り組み、この気持ちを忘れずに業務に臨もうと思います。

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