万代ブログ

造成地の地盤問題について(札幌市の事例を参考)

2018.09.20 【便利帳地質調査

平成30年9月6日、北海道胆振東部地震が発生し、震源地付近では山腹斜面が雪崩を起こしたように崩壊しました。また、震源の北部に当る札幌市の一部では、液状化が発生し、家屋が傾いたり、道路の陥没、下水道の浮き上がりなどがみられました。テレビの報道では、被災箇所が谷部を盛土して宅地を造成していたと放送していました。

液状化の被災箇所は、かつてどのような地形であったかを確かめたいと思います。

国土地理院25千分の1地形図より

 

 

図.1  現在の札幌市清田区
この図は、今回液状化被害が多かったと報道されている札幌市清田区の地形図です。ごく普通の住宅地がみられます。以降、赤丸が一致箇所です。

 

 

 

 

 

そもそも、液状化とは、どのような条件で発生するかというと、

①地下水位が地表から10m以浅に存在し、かつ、現地盤から20m以内に存在する水で満たされた地層であること
②粘土分が土を構成する土粒子の35%以下の土層、または35%を超えても・・・(専門的には塑性指数15%以下の土層)
③土を構成する粒子の割合の50%が10㎜以下でかつ10%の割合が1㎜以下の土層

簡単に考えると、地下水位が高く、水で満たされた砂及び砂質土で発生しやすい。構成する土が大きな礫主体層や粘性土系では起きにくい。

次に、札幌市清田区は、昔どのような地形であったのかを調査します。
古い地形図を調べるのに便利なサイトが存在します。このサイトは、スタンフォード大学のHPよりダウンロードできます。https://stanford.maps.arcgis.com/apps/SimpleViewer/index.html?appid=733446cc5a314ddf85c59ecc10321b41
ダウンロードできる古い地形図は、明治時代から昭和初期のものです。但し、残念なことに、すべての地区を網羅できるようではありません。無い地区でも、必要な場合は国土地理院より、購入できる場合もありますので、問い合わせしても良いかもしれません。

ここで、清田区の昭和10年頃の地形図を添付しました。

 

図.2 昭和10年の清田区
赤丸が図.1の赤丸と一致箇所

 

 

 

 

 

次に、2つの地形図を重ねてみました。
緑の破線が、昭和10年まで谷地形であった箇所です。

新旧地形図重ね図

新旧の地形図を重ねてみると、緑の破線部が昭和10年頃までの谷地形であることが分かります。
つまり、清田区の調査対象箇所では、大きな谷地形があったのではなく、多数の小規模な谷地形内で宅地造成が行われたことが分かります。赤丸がこれまでの図と一致箇所。

次に清田区の調査対象箇所の地質図を添付しました。

既往の地質図を確認すると、丘陵部は火山灰及び軽石質の凝灰岩などからなることが分かりました。
宅地造成するためには、山を切土し、谷部に切った土砂で盛土を行う必要があります。
地形条件より、宅地を造成するためには、地下水が集まりやすい古い谷に軽石を多く含む砂質土系の土砂を投入したことが窺えます。

札幌市公表「液状化危険度マップ」より

 

当然のことですが、札幌市が以前より公開していました液状化危険度マップにも、多数の小規模な谷地形を盛土した箇所を「液状化しやすい」と判定しています。

 

 

 

造成地が必ずしも悪いということではありませんが、造成地の問題としては以前より多く指摘さてています。よく指摘されるのが、
1) 地震や豪雨の際に発生する地山(もともとの地盤)と盛土境界の地すべり
2)谷埋め盛土(湿地や海岸等の埋め立て等も含めて)での液状化
などが挙げられます。

前者は、中越地震や宮城県沖地震などで近くの住宅団地に多くの被害が発生しました。このような被害はどこの造成地でも可能性が否定できません。
後者では今回の札幌市の他、タイプは少し異なりますが千葉県の浦安などで甚大な被害が発生しました。また、同様な被害は、地質が火山灰ではないにしても風化した花崗岩の分布地域の造成地(地下水位の高い谷埋め盛土)でも想定できます。

ちなみに、造成団地でなくとも、液状化する可能性がある箇所があります。それは、下水道工事など際に埋戻し材料として砂を利用した箇所(地下水位が高い場合)、旧水田に砂を投入して宅地造成した箇所などが該当します。

いずれにせよ、大切な土地を購入する際には、古地図を調べてみることをお勧めいたします。

弊社では、北陸地方、関東地方、中部地方などで地質調査、斜面防災調査、施設点検、コンクリート点検、斜面設計(のり面、落石、自然斜面)なども行っております。お困り事がありましたら、ご相談ください。

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