集水井内部撮影
先日、関東地方のお客様よりご用命を頂き、地すべり対策工である集水井(抑制工)の内部画像撮影に伺いました。今回は、お客様の承諾を頂き、点検事例を紹介させていただきます。
集水井は、地すべりの滑動を停止させるために直径3.5m程度の井戸を地上から掘削します。深いものでは深度40mを超える深度のものもあります。井戸内部では、横ボーリングを複数削孔し、地すべりの滑動誘因となる地下水を排除します。集水された水は井戸の下流側に排水ボーリングを削孔し、地すべり地内から地下水を排除しています。このため、このような施設で集水または排水ボーリングが目詰まりを起こしたりすると、地すべりの抑制効果が低減してしまします。また、施設も古いものでは完成後50年程度経過しているものもあり、井筒を支えている鋼製のライナープレートの腐食が進行しているものも多くあります。そのような施設では、そのまま放置すると朽ちてしまうおそれがあります。
このため、近年このような施設の老朽化調査が盛んにおこなわれています。
しかし、集水井内部は酸欠状態になっていることも多く、井戸内に進入する場合には酸素濃度の測定や場合によっては送風機の準備が必要であり、かなり準備作業の手間がかかります。
そこで、集水井内部に進入することなく、内部状況が確認できれば安全で有効なデータが得られます。そこで弊社では、集水井内部の撮影をしております。
集水井内部の撮影では、井戸の深度が深い場合や井戸内に直接日光が差し込む場合などできれいな画像が撮影できないことがあります。これまで試行錯誤を繰り返し、弊社でも徐々にきれいな画像撮影ができるようになってきました。また、弊社の装備は非常にコンパクトであり、車両が近づけない場合でも撮影は可能です。
次の写真は、撮影隊の機資材運搬状況です。
主な機資材は、撮影用カメラ、照明、バッテリー、ケーブル類、モニターなどからなります。
ご覧いただいております通り、ほぼ一人で運搬できるほどの機資材です。
次に内部の撮影状況を示しました。
撮影作業は2名で行います。一人がカメラ及び照明を井筒内に挿入し、もう一人がモニターを見ながら井戸内を撮影します。
次の写真は、モニターに写る集水井内部状況です。
集水ボーリングや排水ボーリングをモニターを介して確認しながら、画像を撮影します。撮影は、静止画の他、動画も撮影可能です。
井筒内の画像がきれいに撮影できるようにカメラと照明を調整するのがポイントです。
撮影した静止画及び動画は、室内にて編集作業を行います。そして、次の写真のような内部の展開写真を作成します。実は、現場での撮影よりも、この編集作業の方がもっとテクニックが必要なんです。
これまで複数の集水井の撮影を行い、撮影方法や編集精度も大分向上してきました。
今回の撮影では、集水井内にある2段の集水ボーリングが確認でき、一番下にある排水ボーリング共に概ね健全であることを確認しました。また、ライナープレートや鉛直に配置されているバーチカルスティフナーも多少の腐食はあるものの、概ね良好であることが写真からも判読できます。
集水井以外にも応用できる可能性は十分にあると考えています。例えばトンネルの壁面の展開画像、橋梁の側面画層など、利用できる可能性があると考えています。
弊社では、北陸地方、関東地方、中部地方(石川、富山、福井、新潟、群馬、山梨、岐阜)などを中心として、斜面防災設計(地すべり、斜面崩壊、落石等の設計)や地質調査を行っております。お困り事がございましたら、お気軽にご相談ください。
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